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感動した、致知の記事より 評価されたかは知りませんが、女子美術専門学校を出てからまもなく、 出品した絵が賞を受けて騒がれた時期もありました。 その時に、自分が若い女だから騒ぐので、 こんな言葉に乗っていたら大変だ。 ある時期を過ぎたら誰も振り向かなくなる という自覚がありました。 大抵は若い時ちやほやされて、ダメにされるんです。 自分を堕落させるのもよくするのも自分なんだ、 と考えていますから。 誰かにすがっていたら、その人の言うなりじゃないですか。 人それぞれ姿形が違うように、運命も皆違うのですから、 誰もしないことを開拓しなければダメだと思っています。 ですから安全な道はなるべく通らない。 不安な道や未知の道を通っていくとか、獣道を選ぶとか。 大通りはつまらないと思っている人間で、 それがいまでも続いています。 そういう性質ですから、画家としては 食べることができませんので、 絵本を描いたりして生業を繋いできた。 ただ、それもやってるうちにちやほやされて、 児童の教育委員会などに出されることになってきました。 だから「これはいけない」と思って絵本の仕事はやめました。 そうやって、どこへ行ってもちやほやされないように、 上手にその道を避けて生きてきたわけです。 【記者:絵の腕はどのようにして磨いてこられたのですか?】 磨いてなんかいません。それはいい絵を描きたいですが、 いい絵を描こうといってできるものじゃない。 感覚というものは努力したってダメなんです。 絵は他の人から学ぶことはできない。 ただ、自分のだらしなさが直に現れます。 ですから自分がいつも未知の谷に飛び込むこと。 不安の中に身を投げていなければダメだと思っております。 いつも不安の中に身を置いて、 昨日をぶち壊していくということです。 ですから学ぶよりも「壊す」というのが私のやり方です。 そして、過ぎたことを忘れることです。 きょう出品したものはお葬式が済んだ後ですから、 もう一度はやれません。やれば悪くなるに決まっています。 人は「もう一度あの絵を描いてください」と言いますが、 慣れると確かにうまく見えますが、それはコピーです。 描いた本人には気が抜けていて、 魂が入っていないのが分かる。 同じ感動は繰り返せないということです。 もしかしたら私の中に、 まだ芽を吹かないものがあるかもしれない、 ひょっとしたら、まだ思いがけないものが潜んでやしないかと、 いまだにそんなことを考えています。 そのためにはいつも自分を空っぽにしておかないと 新しい水は入ってこないんです。 私に勉強の仕方があるとすれば、 いつも自分を空っぽにしておくということです。
by 55ishibashi
| 2012-01-20 22:20
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